寄り添って…場面緘黙の子と良い関係を築くコツ

生徒指導

はじめに

教室での何気ない場面では、元気いっぱいに見える子…

しかし、

ある場面になると声が出なくなる子どもがいます。

それが「場面緘黙(ばめんかんもく)」です。 

 

「あれ?話せないの?」

「もしかして、話したくないの?」

と戸惑うこともあるかもしれません。

しかし、大切なのは、

「どうにか話せるようにする」ことではなく、

その子が安心できる環境を作っていくこと

なんです。

今回は、そんな場面緘黙の子との良い関係づくりのコツをお伝えします。


場面緘黙を理解しよう

場面緘黙とは?

そもそも場面緘黙とはどういうことなのでしょう?

次のようなことがあります。 

  • 家庭では話せるが、特定の場所(学校など)では話せなくなる状態
  • 強い不安や緊張が背景にあることが多い
  • 意図的に無視しているわけではない
  • 発達障害や不安障害と関連することもあるが、そうでないケースもある

なぜ声が出ないの?

場面緘黙は「意識的に話さない」のではなく、

「話したいのに、声が出ない」状態

なのです。

つまり、「話してごらん」と言っても、努力でどうにかなるものではないのです。

そこで必要なのは、安心できる環境と、焦らない支援です。


子どもたちの気持ちに寄り添って

私のある経験をお話します。

場面緘黙のTくんと、集会の練習をしていた時のことです。

教員との1対1の練習では、小さい声ながらも台本を読めていました。

いざ、友達と一緒の練習場面になると、全く声が出ない…

 

でも、しっかり台本を見て、指で台本の文字を追っていました。

顔をよく見ると、かすかに口を動かしているように見えました。

 

しかもTくんは、絶対に練習を休むことはなかったのです。

このことから私は、Tくんは

「やりたくないわけではない」

「声が出なくても自分の役割を果たそうとしているんだ」

と、感じたのです。

 

そうなんです。

場面緘黙の場面で、私たちが「声が出るかどうか」だけを見てしまうと、

子どもたちが自分から行動しようとする姿や、

子どもが心を開こうとしているサインに気づけないこともあるのです。

 

例えば

  • 目を合わせてくれた
  • そっと頷いてくれた
  • メモで気持ちを伝えようとしてくれた

そんな小さな「できた」を見逃さず受け止めることが、

子どもたちにとって「ここにいていいんだ」という安心につながります。


良い関係づくりのためのコツ

場面緘黙の子と関わるとき、私が実際に意識していることをまとめます。


「話す」以外のコミュニケーションを広げる

  • ジェスチャー、サイン、表情でOKとする
  • 絵カードや指差しシートを活用する
  • 筆談ができるならば、メモやホワイトボードでのやりとりもGOOD!

「話せる場面をつくる」より「安心できる場面をつくる」

  • 「無理に話さなくていいよ」と最初に伝える
  • 無言でもOK!一緒に過ごせる空気を作る
  • 必要以上に「どうして話せないの?」と詰めない

小さなつながりを大切にする

  • 毎日あいさつを続ける(返事がなくても)ジェスチャーも加えると、なお良いです。
  • 好きなこと・得意なことから距離を縮める(例:絵、工作、ゲームなど)

➔「話す」ことを優先するのではなく、教員が「一緒にいても安心」な存在になることを目指します。


今日からできる小さなアクション

忙しい日々でも、今日からできるサポートを紹介します!


挨拶+一言で子どもの存在を認める(居場所づくり)

  • 「おはよう!」(返事がなくてもOK)
  • 「〇〇さんが今日も来てくれて嬉しいよ」

➔声をかけ続けることが安心感につながります。


書けるツールを準備しておく

 メモ帳、ミニホワイトボードなど

➔書くことで気持ちを表現できるチャンスを増やします。


「沈黙もOK」の空気を作る

  • 無理に話題を探そうとしない
  • 一緒に作業する、遊ぶだけでも十分!

「沈黙=失敗」ではないというスタンスを持つことが大切です。


おわりに

場面緘黙の子どもたちは、声に出せなくても、

心の中でたくさんの想いを持っています。

焦らず、無理強いせず、

子どもの「できるかも」「伝えたいな」という瞬間を

そっと支える存在でありたいと思います。

あなたの「大丈夫だよ」という気持ちは、

きっと子どもたちに、届いていますよ✨


今後も、特別支援学校の授業づくり・支援の工夫について発信していきます。

質問や感想など、コメント大歓迎です♬


コメント

タイトルとURLをコピーしました