
はじめに
運動会
遠足
発表会
修学旅行
多くの子にとっては楽しみな学校行事です。
でも一方で、「学校行事が苦手」という子も少なくありません。
「いつもと違う雰囲気が不安になる」
「人前に出るのが苦手」
「大きな音や人ごみにのまれてしまう」
そうした子どもたちにとって、学校行事は大きなストレスの源になってしまうことがあります。
今回は、行事が苦手な子へのサポートアイデア3選をご紹介します。
学校行事が苦手になるワケ
学校行事が苦手な子には、さまざまな背景があります
- 感覚過敏(音・光・においなど)
- 見通しが立たないことへの不安
- 人前での緊張や自己肯定感の低さ
- 環境の変化への対応の難しさ
これはわがままでも甘えでもなく、「発達特性」による自然な反応です。
だからこそ、強制ではなく、
個々の特性に合った事前の工夫や選べる選択肢が、安心と自信につながります。
子どもたちの気持ちに寄り添って
「なんでできないの?」
「他の子は楽しんでいるのに…」
そんなふうに思ってしまうこともあるかもしれません。
私も、そんな経験がある教員の一人です。
学習発表会のステージ練習の時のこと。
教室では、自分のセリフを大きな声で言えていたCさん。
いざ、体育館のステージに上がると
固まってしまい、一言も話せず…
「教室ではできていたのにどうして??」
と、焦ってしましました。Cさんとやりとりをしようと話しかけると、
「どうしてもステージになると声がでなくなっちゃう。教室だとできるのに…」
ボソッと言ったこの言葉を聞いて、
「やりたくないわけじゃないんだ」
「本当はできる自分を出したいんだ」
と気づきました。
ただ、その子にとって「今は難しい」だけなんです。
だからこそ、私たち教員は、
できない理由を理解し、できる形を一緒に探す存在
であるべきなのです。
学校行事を安心して過ごすためのサポートアイデア3選
ここでは、実際に現場で効果があったサポートアイデアをご紹介します。
事前予告で「見通し」をつける
- 写真入りのスケジュールカード
- 活動の流れをイラストで説明
- 動画や写真で当日の流れを一緒に見る
➔ 何が起こるかわかるだけで不安は大きく減ります。
選べる参加で安心感をつくる
- 「演技には参加しないけど、応援席に座る」
- 「衣装だけ着て写真撮影に参加」
- 「準備や片付けの係として関わる」
➔やらないではなく、できる形で関わるという選択肢をつくることが大切です。
安心できる逃げ場を用意する
- 空き部屋、教室の端、静かなスペース
- 「苦しくなったときはここに行ってもいいよ」と伝えておく
- ノイズキャンセリングイヤーマフの活用
➡「逃げられる場所がある」というだけで、子どもは挑戦する力を持てます。
今日からできるミニサポート
時間や準備があまりなくても、ちょっとした工夫で子どもが安心できることはたくさんあります!
ひとこと安心フレーズ
- 「やりたいところまでで大丈夫だよ」
- 「できたらラッキー!くらいの気持ちでね」
- 「何があっても、先生は味方だからね」
サポートグッズの活用
- 手元のスケジュールカード
- 安心できる感覚グッズ
- イヤーマフ
周囲の教員への声かけ
- 他の先生にも事前に苦手傾向を共有
- 保護者にも「〇〇な時はこう対応しますね」と伝えて安心を得る
おわりに
学校行事は、子どもたちの心に残る大切な思い出です。
でも、その1番の形は「みんなと同じ形で参加すること」ではありません。
「その子らしく、できる形で関わる」
これこそが、子どもたちの安心と自信を育てる大事な一歩です。
ひとりひとりに寄り添いながら、その子にとって
ちょっとがんばってよかった
と思える行事になるように願います。

今後も、特別支援学校の授業づくり・支援の工夫について発信していきます。
質問や感想など、コメント大歓迎です♬
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