
みなさんは、性教育を学校で取り組んでいますか?
「性教育って、どう教えたらいいんだろう?」
「なんだか触れちゃいけないような…」
「保護者から何か言われそう」
そんなふうに思ったことはありませんか?
特別支援学校における性教育は、
あたりまえに必要な教育であるにも関わらず、
どこか「タブー視」されやすいテーマです。
でも実は!
性教育は子どもたちを守るための生活スキルのひとつです。
今回は、性教育に対する不安を軽減し、授業を作る第一歩を後押しします。
なぜ性教育が大切なの?
特別支援を必要とする子どもたちは、次のような課題を抱えやすいと言われています。
- 「イヤ」の意思表示が苦手
- 境界線(していいこと/いけないこと)の理解が曖昧
- インターネットやSNSのリスクにさらされやすい
- 思春期の体と心の変化についていけない
こうした背景があるからこそ、
性に関する正しい知識と「自分を守る力」を身につけることが、とても重要になります。
性はその名の通り、「心」と「生」で成り立っています。
直訳すると ”人に生まれながら備わっている心の意” を表しています。
すなわち
性教育=恥ずかしいこと
ではく
「命と心と体の大切さを学ぶ教育」
なのです。
どんなことを教えたらいいの?
性教育は「命と心と身体の大切さを学ぶ教育」だと表しました。
そうなると、性教育の範囲は幅広いです。
その中で、特別支援学校では次のような内容が求められます。
【内容例】
カテゴリ | 内容例 |
---|---|
衛生 | 手洗い、身支度、入浴など |
からだの変化 | 思春期に起こる体の変化(生理・射精・ニキビなど) |
プライベートゾーンの理解 | 水着で隠れる部分は見せない・触らせない・触らない |
感情とのつきあい | イライラ・もやもやしたときの対処法 |
他者との距離感 | 人との関係性に応じたふるまい、パーソナルスペース (あいさつ/スキンシップ) |
トラブル対応 | 「イヤなことはイヤと言う」「困ったら誰かに相談」 |
特に重要なのは、日常生活とつなげながら、繰り返し伝えていくこと。
”1回の授業で終わり”ではなく、生活の中で当たり前に取り入れる姿勢が大切です。
授業での伝え方と工夫
性教育を進めるときに気になるのは、「どうやって伝えるか」ではないでしょうか?
ここでは、現場で実践しやすい方法や工夫を紹介します。
教材はイラストや動画、具体物を活用
▶抽象的な言葉だけでなく、視覚で理解できる教材が効果的です。
絵カードや絵本、エプロンシアターなどを活用しましょう。
「正しい名前」で体の部位を教える
▶上半身、下半身など、身体の部位をあいまいにせず、
身体の部位を正確に伝えることが自分を守ることにつながります。
また、自分の身体に対して「だれにも見せない・触らせない」も繰り返し伝えましょう。
ロールプレイや日常会話の中で学ぶ
▶実際の場面を想定し、「知らない人に声をかけられたら?」「嫌なことされたら?」という設定で、
ロールプレイをするのも効果的です。
良かったことや、どうすれば適切な対応だったのかなど、振り返りも忘れてはいけません。
保護者と連携する
▶性教育はデリケートな話題なので、保護者に向けて事前に学年通信などで内容を共有しておくことが
授業への安心につながります。
「なぜ今、性教育が必要なのか」という説明文をつけておくと丁寧ですし、信頼も上がります。
明日からできる小さな一歩
「いきなり授業をするのはハードルが高い…」
そんな先生でも大丈夫!
今日からできる性教育につながる関わりを3つ紹介します。
トイレや更衣時に「プライベートゾーン」の声かけ
▶水着で隠れる場所=「プライベートゾーン」
「ここは人に見せない場所だよ」「友達に触るのもよくないね」など、
場面ごとにさりげなく伝えるのがポイント。
絵本や動画で心と体に触れる時間をつくる
▶絵本や短い動画でなどで、自分と向き合う時間を作る
まずは絵本から始めてみると、子どもも教員もハードルが低くなり、取り掛かりやすい。
学校生活の中で「距離感」や「マナー」を一緒に考える
▶子どもとお話をするとき、
「これは先生には近すぎるかな?」
「お話しするときはちょっと離れてね」など、
パーソナルスペースを日常のやりとりで意識するきっかけにすると◎。
性教育は「タブー」じゃない。
性教育は「教えるのが恥ずかしい」ことではなく、
子どもの命と心を守る教育 です。
完璧な授業でなくてもいいんです。
でも、「少しずつ、わかりやすく、繰り返し」が大切です。
子どもたちが安心して成長できるように、私たちも保護者と共に
「避けずに話す姿勢」を持っていきましょう。

特別支援学校の授業づくりに役立つ情報を、今後も発信していきます!
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