
「コミュニケーション課題にはSSTだよ」って先輩に言われた
「SSTって名前は聞くけど、どうやってやるの?」
「授業にどう取り入れたらいいのか分からない…」
そんなことを思った先生方も少なくないはずです。
そもそもSSTとは何か?
どんなことをするのか?
など、SSTをすぐに授業に取り入れる方法をご紹介します。
なんでSSTが必要なの?
SSTとは、
ソーシャルスキルトレーニング
=社会的スキルを育てるための学習
のことです。
特別支援学校に通う子どもたちの中には、コミュニケーション面で課題を抱えている子が
少なくありません。
それを解決するためには、
「人と関わる力」
「状況に合った行動」
「自己コントロール力」
を育てることが、学習面や生活面の安定につながるとされています。
たとえば…
- 友達と遊具の順番を守る
- 困ったときに助けを求める
- 自分の気持ちを伝える
など、子どもたちにとって、日常生活のちょっとしたやりとりに対して
困難さやトラブルが見られることがあります。
そのような場面を想定し、適切なコミュニケーション力をとれるような力をつけていくことがSSTなのです。
そして、SSTは「できないことを追求する」活動ではなく、
「できるようになる機会をつくる」活動 なのです。
授業でどうやればいいの?
SSTの授業では、次のようなスキルを段階的に学んでいきます。
【SSTで育てる代表的なスキル】
スキルカテゴリ | 内容の例 |
---|---|
あいさつ・マナー | おはよう・ありがとうなどを言う/順番を待つ |
コミュニケーション | 話を聞く/気持ちを伝える/相手の気持ちを想像する |
自己コントロール | 怒りや不安を落ち着かせる/気分転換する方法を知る |
ルールの理解 | 社会生活で守るべきルールを学ぶ |
問題解決 | トラブルが起きたときの対処法を知る |
また、授業スタイルは様々です。
代表的なものは
- ロールプレイ(役割演技)
- 絵カードやシナリオを使った活動
- グループワーク
- クイズ形式で考える授業 など
です。個別なのか、集団なのか、学習環境にもよりますが、
ポイントは、
子どもが安心できる場所で失敗してもいい経験をすること
その中で、
「やってみたい!」
「できた!」
という感覚を育てていきます。
授業の進め方と工夫ポイント
ここでは実際に授業でSSTを進めるときの流れと、工夫ポイントを紹介します。
多くは自立活動の時間に設定することが多いです。
基本的な授業の流れ
- 導入(ねらいの共有):「今日は‶困ったときの伝え方”を練習します」など
- 提示(課題場面の紹介):イラストや動画で状況を提示(教員の劇でもOK)
- 考える時間:「このとき、どうしたらいいかな?」と話し合う、または絵カードを選ぶ
- ロールプレイ:実際にやってみる
- ふりかえり:「うまくできたこと・難しかったこと」を発表する、良かったことを評価する。
工夫すると良いこと
- イラストや写真を使って視覚的にわかりやすくする
- できたことをしっかりほめる
- 1対1で練習 → 小グループ → 全体へと段階的に行う
- その子に合わせた「成功体験」が得られるように調整する
SSTは担任一人で背負わず、他教員と連携することも大切です。
明日から使えるSSTアイデア例
明日から取り入れられる、簡単SST活動のアイデアをいくつかご紹介します!
感情カードで「気持ちの名前」を知ろう
- イラスト付きのカードを見て、「これはどんな気持ち?」と当てるゲーム
- 気持ちの表現が苦手な子におすすめ
おもちゃの貸し借りロールプレイ
- ぬいぐるみやボールを使って、「貸して」「いいよ」「ありがとう」のやりとりを練習
- トラブル予防に効果大
場面カードや絵本を使ったマナークイズ
- バスの中、図書館、トイレなどのマナーをイラストで出題
- 正解・不正解よりも「なぜそうするの?」を考えることが大事
どうしたらいいかな?SSTすごろく
- 問題場面がマスに書かれていて、止まったマスで解決方法を考える
- グループでの対話が生まれやすく、楽しく学べる
SSTは‶支援”であり‶成長のきっかけ”
SSTは、専門的な特別な指導ではありますが、
「できるようになる体験」
「人と関わる喜び」
を育てる、日常に必要な学習の一つです。
そして、授業の中でできたから「終わり」なのではなく、
日常生活の中で般化していくことが大切です。
子どもが自分の課題を乗り越えて、「できるようになる」機会を作る私たち教員。
先生方の関わりひとつひとつが、子どもの生きる力を育てる土台になります✨

この記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
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