
「調理実習やりたいけど、危なくない?」
「火や包丁を使うのはちょっと心配…」
「衛生面も気をつけなきゃ!」
特別支援学校の現場では、そんな声を聞くことは少なくありません。
「食」は子どもたちの興味関心が高いものです。
自分で作って食べるからこその良さもあると考えています。
でも、気になるのは安全面です!
ご安心ください。
火も包丁も使わなくても、子どもたちが楽しめて学べる調理実習はたくさんあります!
安全な調理実習が大切なワケ
調理実習は、単に料理をして食べるだけではなく、
- 自立に向けた生活スキルの育成
- 手指の巧緻性や工程理解の支援
- 協働的な学びや達成感の体験
といった教育的な意味を持つ大切な活動です。
しかし一方で、
火傷
刃物のケガ
衛生面
など安全管理のハードルが高いという課題もあります。
だからこそ、安全性に配慮した授業計画を立てることが、
調理の楽しさを身体全体で味わう第一歩
になるのです。
子どもたちの笑顔から感じる調理実習の実践
火や包丁を使わなくても調理実習はできます。
私の実践例をご紹介します。
生活単元でジャガイモ掘りを行い、そのまま調理実習をした時のことです。
学年の先生方とも話し合い、火を使わないポテトサラダ作りに取り組みました。
本来ならば、鍋でお湯を沸かしてジャガイモを茹でるのですが、
多動で危険認知の低いAくんのためには、火を使わないでやってみよう!と
電子レンジを使った調理にしたのです。
普段は、自分の興味がないと教室内を動き回っているAくんでしたが、
ジャガイモを洗って耐熱性のボウルに入れ、電子レンジに入れると、
「何が始まるんだろう?」と、電子レンジにくぎ付け✨
「ピー」
という音と共に、湯気の上がったジャガイモを見て不思議そうな顔…
ふわっとジャガイモの匂いがすると、笑顔が見られました。
ビニール袋にジャガイモを入れ、火傷しないようにタオルの上からモミモミ…とつぶします。
つぶす触感がおもしろかったのか、目をキラキラさせてこう言いました。
「楽しい🎵これイモ?」
普段はすぐに教室内を歩いてしまいますが、集中して作業に取り組んでいました。
マヨネーズや塩コショウを入れて、さらに混ぜると大興奮!!
「これ食べる?(食べられる?)」
できたてを、クラスの友達と一緒に食べると、
「おいしい💛おかわり!!」
と、満足そうな表情。
この実践を通して、
「自分で作ったものがおいしかった」
という経験が、子どもたちの生活経験の幅を広げると共に、
子どもたちの自己肯定感を高めることができたと感じました。
調理実習は、生活を学ぶ授業であり、自分を高められる授業でもあるんです。
安全・簡単・楽しい調理実習♪3選
私が実際に取り組んで好評だった、安全で火を使わない調理実習3つをご紹介します!
ポテトサラダ(レンジ+手でつぶす)
上記の実践例で紹介したものです。
- 材料:じゃがいも(電子レンジで加熱)、ハム、マヨネーズ、塩コショウ
- 工夫:ポリ袋に入れて手でつぶす(火傷しないようにタオルなどを使う)
- 包丁:不要(スケッパー or キッチンバサミ)
電子レンジ焼きそば
- 材料:中華麺、キャベツ、ウインナー、もやし、ソース
- 工夫:チームで「キャベツ係」「ウインナー係」など、協力して取り組むのもGOOD!
- 包丁:不要(スケッパーor キッチンバサミ)
マグカップケーキ
- 材料:ホットケーキミックス、油、牛乳、砂糖、クリーム、フルーツ缶
- 工夫:人数分のマグカップがあれば、一人一つ作ることができる。
- 火:使わず、電子レンジでOK
明日からできる準備と導入アイデア
「やってみたいけど、準備が大変そう…」
そんなときにおすすめのいますぐできる工夫を紹介します!
100円ショップでそろう!実習準備リスト
- ポリ袋(つぶす・混ぜる)
- 紙皿 、紙コップ、プラカップ
- スケッパー
- キッチンバサミ
スムーズに始められる導入フレーズ例
- 「今日は火も包丁も使いません!安心して楽しもう!」
- 「自分だけのごはんを作るって、ちょっとワクワクするよね」
- 「できあがったら、みんなで写真も撮ろうね!」
振り返り活動にもつなげよう
- 「どうやって作ったか、写真を順番に並べよう」➔調理の様子を写真で撮っておく
- 「できあがったとき、どんな気持ちだった?」➔表情カードを用意しておくと良いね
- 「おうちでも作ってみたいものはある?」➔通信などで簡単なレシピを載せるのもGOOD
「安全第一」でありながら、
「楽しい!」
「またやりたい!」
と思える調理実習は、子どもたちの大きな成長のきっかけになります。
自分たちで収穫した食物を使うと、さらに学びが深まります♪

今後も、特別支援学校の授業づくり・支援の工夫について発信していきます。
質問や感想など、コメント大歓迎です♬
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